あなたの心配・不安にこたえます。くまもとアレルギー相談室 @熊本県アレルギー疾患対策拠点病院

よくある質問

アトピーを民間療法で治したいのですが…

通常の保険診療で治療がうまくいかないときに、民間療法に頼りたくなる気持ちはとてもよく分かります。私は子どもの頃、ひどいアトピー性皮膚炎で民間療法に手を出したことがあります。もう35年以上前のこと。今のようにアトピー性皮膚炎の病態も分かっていませんでしたし、治療といえばステロイドくらいしかなかった時代です。他に方法がない場合、藁にもすがりたくなるのは当然です。しかし現在、保険診療でアトピー性皮膚炎は普通にコントロールできます。
民間療法を患者さんに勧めるのは、友人や親戚だったりします。そういう人は困っている患者さんに対して善意で勧めてくれる場合が多く、そこが難しいところです。実際には残念ながら民間療法のほとんどは、科学的根拠のないビジネスです。アトピービジネスという言葉を知っていますか? 毒にも薬にもならないものを、困っている人の弱みにつけ込んで売りつけ儲けている実態があります。それならまだしも、毒になる場合もあります。以前、非ステロイドの特別な軟膏と偽り、強力なステロイドを混ぜて売っていた業者がいました。ステロイド外用剤は適切な量を専門的な管理のもと使うから安全なのであって、知らずに塗らされたらたまったものではありません。立派な犯罪です。
薬にはプラセボ効果というものがあります。一般論として、これはすごくいい薬だと説明して、ただの水を飲んでもらうと、一定の割合の人は病気が軽快するというものです。民間療法を試してみようかなと思った時、そこにきちんとした科学的根拠があるか? 価格が適正か? これはアトピービジネスじゃないか? と一度立ち止まって考えてみてください。